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盲導犬体験記 その2

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盲導犬体験記 その2,前回からの続きである。

いよいよ建物の外に向かって歩き出した。
あ、いま玄関マットに踏み込んだ!。そう、視覚を失ったとたん全身で受ける刺激に気がつくようになった。普段まったく気にしたことがない床と玄関マットのわずかの高さの違い、踏み心地の違いを感じる、、、いや、気がつくようになったのである。
二重自動ドアに踏み込んでいよいよ外の世界へ。室内からドア間、そして外と、音の反響でなんとなく空間がわかる。空気の温度で外の世界を身体で感じる。

たぶん晴眼者(見える人)の我々も全身で受ける周囲の情報を身体は気がついているのに、視覚情報を優先しているため他の刺激を情報として気にしていないのだと思う。晴眼者がいかに視覚情報に頼って生活しているかを思い知らされる。

体験歩行ではトレーナーさんが体験者の代わりに盲導犬に指示をしてくれる。指示は英語じゃ。
ワシは英語にしておくと、ワンちゃんが周囲の言葉に惑わされず指示を確認できるからかと思ったのじゃが、英語にしておくと訛りなど個人の差で指示が異なるようなことがなくなるという理由があるそうじゃ。

「はい、会場を出て斜め左方向に行きますよ。」

さっき歩いて入ってきた入口から出たにもかかわらず、位置関係がまったく分からない(あせ)。
地面の踏み心地が変わって歩道へ。と、ワンちゃんがピタリと止まった。

「ここに段差があります。こうして歩行者に段差などの危険を知らせるときは止まるんですよ。」

足を少し前に出して探ってみると建物の敷地から歩道に降りる段差がある。
す、すごい…おりこう!!

段差を超えて歩道に出た。

「では、ここから歩道沿いに進んでみましょう。」

トレーナーさんの英語の指示に従いワンちゃんは左に進む。彼女は絶妙な速度でハーネスを持つワシをリードする。
ワシの左側を歩くワンちゃんに軽く足が触れながら進むのじゃが、その感覚が非常に心地よい。視界がない中でそっと触れるワンちゃんの身体に、この子にリードしてもらえれば大丈夫!という安心感を覚える。

今まで右横から聞こえてきた車の音が、しだいに正面からも聞こえ始めた。交差点だな、と思ったらワンちゃんが止まった。

「交差点につきました、足で探ると前に段差がありますよね。犬は段差や交差点で止まって教えることができるのですが、進むかどうかは人間が指示します。信号は人間が判断しないといけないんです。」

あぁっ、たしかに!
トレーナーさんが言われるように強度の近眼で白黒画像しか見えない犬が信号を判断できる訳がない。
言われてみれば当たり前のことなのに、頭からそんな事実は消し飛んでいた自分に気が付いた。

「犬はGPSやカーナビではないですから、行く先は人間が判断して指示するんですよ。」

これまた、あまりにも当たり前のことなのにそこまで考えが回っていなかった。
盲導犬は万能ではないのだ。視覚障害を持つ歩行者の目の前に現れる差し迫った危険から身を守ってくれる素晴らしいパートナーではあるが、外出移動のすべてを担ってくれるわけではない事実。なぜ当たり前のことに気づけなくなっておるのじゃろうか。

それは、盲導犬をはじめとしたハンディキャップを持つ人達の周りのことについての情報が少ないこともあるとは思うのじゃが、それ以上に健常者が関心を持っていなさすぎることが理解不足に繋がっておるのじゃろう。

その3に続く

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